大分、暖かくなってきた。
というより暑いくらいである。 でもいい季節ですね。 この季節になると、なんだか公園も街も 暖かさにつられて人がゾロゾロと 出てくるような気がする。 人にとっての「啓蟄」は、5月頃なのかもしれないですね(笑)。 今、家の近くの落葉広葉樹林ではカマツカが満開で、とても美しい。 (上の写真がカマツカの花) カマツカは、身近な林縁に自生しているのを 比較的よく見かける。 それほど派手さはないので あまり人目に触れないのかもしれないが 清楚な美しさがあって好きだ。 もっと公園の緑地や庭などに植えられてもいいように思うのだが 何故か一般にはそれほどの人気はないようである。 ウワミズザクラも、その美しさにも関わらず あまり世間の話題に上がらないが 好きな種のひとつである。 (左の写真がウワミズザクラ) フワフワとした白い花が 今の季節、特によく目立つ。 同じバラ科サクラ属であるソメイヨシノやサトザクラは 花見で多くの人で賑わったり 歌や、そのPVなどにもよく登場し、人々の感性を揺さぶるが ウワミズザクラが歌のテーマになったりすることは、、、 まずない。 (右の写真がウワミズザクラの花) キブシもその可憐さにも関わらず それほど人々の話題に上がらない種のひとつである。(左の写真がキブシ) 今は花もとっくに終わってしまって目立つ事はないが まだ花の少ない春先の林縁では、淡い黄色い花がよく目に付いて美しい。 枝先から垂れ下がるような花を多数咲かせる姿は、優美ですらあり 時折、ハッとさせられる。 写真がないのが残念だが、ミズキの白い花も見事である。 遠くから見ても、かなりよく目立つ。 そして、ミズキは花だけでなく、「春先の新葉」が、とても「鮮やかなグリーン」で 大変美しいという印象がある。 こうした種は、多くの世間一般の人々の目に留まったり 話題に上がることは、それほど多くはないようである。 その可憐な姿にも関わらず、、、である。 こうした種はひっそりと、身近な林縁で風景の一部に溶け込んでいる。 一方で、ホームセンターや園芸店で売られている多くの種は 人工的に改変された園芸種や、派手で華やかな印象の外来種が多く 一般にそうした種の方が人気が高いようである。 しかし、あえてファッションに例えて言うならば 本当に「美しい人」とは、「その人らしさ」とか「個性」などが 実にいい感じで「にじみ出ている」ものである。 同様に、「本当に美しい環境」とは 「その土地らしさ」や「場の個性」を、決して失ってはいない場合が多い。 ただ、「美しい」などという概念は、あいまい、かつ人それぞれであって、 そもそも「美しい」とは何か、という事もあるのだけれど 少なくても、単に「キレイに整っていること」と 「美」という概念は、やはり大きく違うように思う。 ファッションと同様に、「その人らしさ」、つまり「その場所らしさ」を失っていては 「本当に美しい」とは感じない。 残念ながら、現代の多くのオープンスペースや庭のデザインは 「その人らしさ」、すなわち「その土地らしさ」や「その場所らしさ」を 覆い隠そうとしているかのように見えることがある。 これはとても「もったいない」ことで 「その人の個性」や「ポテンシャル」などを、わざわざ押しつぶし 「別の個性」を無理やり押し付けているようなものである。 よくよく目を凝らして見れば 私たちをとりまく環境は、もっと多様性が高く、奥が深く、複雑で そして何より個性的だ。 なんでもない風景の中にこそ、可憐さと、その土地の個性が潜んでいるのである。
by lidesign
| 2010-05-08 21:01
| 環境とデザイン
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