<   2008年 02月 ( 1 )   > この月の画像一覧

緑地利用のカタチ

先日放映された、テレビ朝日の宇宙船地球号で、神奈川県川崎市にある 川崎国際生田緑地ゴルフ場が紹介されていました。

テーマは「大都会の緑のカプセル 地球にやさしいゴルフ場とは?」

紹介されていたプロジェクトの中心的役割を担っている方から前情報を頂き、「ランドスケープを生かしたゴルフ場で、(土地を大きく改変して開発するのではなく)元からある地形や景観を生かしてゴルフ場を造った。」とお聞きしていて、これは見逃してはならぬ!とかじりついて拝見しました。

このゴルフ場、娯楽としてのゴルフ場であると同時に、自然との共生を目指していて、地域の貴重な緑地として、地域住民の緑のカプセルとして存続しているそうです。

以下は、ゴルフ場の概要と、紹介されたプロジェクトの内容です。

◆その地形や既存樹木を生かしている。これは、そこに存在している植物、昆虫、動物、そして土壌生物などの生態系を保全しており、湧き水もきれい。清水にしか生息できない絶滅危惧種のホトケドジョウも生息が確認されている。

◆モグラが地上に顔を出し、グリーンに穴を開けてしまっても、薬品で駆除はせず、モグラの嫌いな「杉の葉」を穴に埋めて忌避する。人にとって都合の悪い生物を排除するのではなく、共存していこうという、昔の日本人が自然に行っていたことかもしれません。

◆蓋をされた水路を改修し、生物が生息可能なよう、「せせらぎの小川」への変貌を実行中。

◆隣接する生田緑地では、地域住民の手によって里山の保全・管理をしている。地域の小学生の参加も!蛍を呼び込むことにも成功しています。

◆開発が進む周辺環境の中で、緑のオアシスとして、地域環境にとって大変貴重な存在。

◆「緑の回廊」としての役割・・・このゴルフ場と生田緑地を起点に、三浦半島へ緑地をつなげてネットワークさせることにより、生物の移動と生息場所の確保を図るもの。多様な生物が存在する生態系の創出を目指している。


ゴルフ場といえば 「森林伐採による環境破壊」 「芝への農薬散布による環境汚染」 という 「負の側面」 のイメージが大きいのが、大方の見方だと思います。

もともと欧州の緑少ない緩やかな丘陵地形を利用して行われたスポーツを、地形が複雑で、緑豊かな山々が連なる、日本で行おうとするのですから、沢山の無理難題をかかえているわけです。
あの青々とした芝生も皆の憧れですが、日本の気候に適している「高麗芝」は冬枯れします。それでは困ると・・・冬にも青々としている「西洋芝」の種を重ねて播く。・・・と、高温多湿に弱い「西洋芝」は夏の高温期に病害虫が発生しやすい。なので、頻繁に農薬を撒く。これが昆虫や土壌菌を殺したり、鳥を寄せつけなくしたり、河川を汚染したり・・・と生態系のバランス崩すことに・・・。多くのゴルフ場はそのようなものでありました。(現在では農薬散布量は規制されているそうですが)


でも、自然との共生を目指し、実践しているゴルフ場があったとは・・・。

消費傾向の強い現代社会の中で、大きな緑地を保全していくことは、容易ではありません。

人の娯楽のために造られた空間ですが、減少傾向が加速する都市近郊の緑地において、ゴルフ場の緑地空間は、「ただの娯楽スポーツの場」だけではなく、その「緑の在り方」を考える時期にきているかもしれませんね。

人と自然の「つなぎ手」としての可能性を秘めた空間でもあると、改めて気付かされました。

プロジェクトを実行されている方々の考え方に乾杯です。
[PR]
by LIdesign | 2008-02-10 21:28 | 環境とデザイン