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木村秋則氏のこと

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農業家の木村 秋則氏の講演会に
行ってきた。


前から、とてもとても楽しみにしていた
講演会である。



木村秋則氏は、以前に、NHKのプロフェッショナル「仕事の流儀」にも出演し
その後も、脳科学者の茂木健一郎氏も、いたるところで絶賛している方なので
ご存知の方も多いと思うが、「奇跡のリンゴ」で有名な自然栽培農業家である。

通常、多い所だと50回は農薬散布を重ねる、、、とされるリンゴ栽培。
木村氏は「無農薬、無施肥」のリンゴ栽培に成功した方である。


化学肥料はもちろんのこと、有機質肥料も施さず、農薬もまかず、除草もせず
「森の生態系」を参考に、豊かな土壌を育て、見事リンゴを実らせたのである。

農家泣かせの病気も、「リンゴ自身の免疫力」で治癒させる。

「だから農薬によって、有用な菌を殺してはいけないんだ。。。」と語った。

これは、「ごく自然なこと」、と言えば自然なのだろうが、
あれこれ手を施し、収量を上げようとする今の慣行農業においては
「そんな事をしていたのではリンゴは獲れない」と、いうことが
ずーっと常識とされてきたのである。
それをくつがえし、自らの実践の中で、可能であることを証明したのである。


木村氏は、ごくごく最近まで、周囲の人々から「全く理解されなかった」そうである。
「変わりもん」だとか「ばか」だとか、「かまど消し」などと言われ続け
友人も一人減り、二人減りという状態だったそうである。
そうした状態が、8年間も続いたという。
途中何度も辞めようと考えたそうである。

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だけど自分の信念を貫き、達成させた今では
「自分は百姓なので。。。」といいながらも
著名な学者や研究者や、専門家と肩を並べ
全く引けを取らずに、議論を交わし
海外でも公演するなど
各方面で注目されているのである。


自らの考えや疑問点を、「実践」を通して見出した、「木村氏独自のノウハウ」だからこそ
響いてくるのである。
彼はそれらを、「全ては”失敗”から生まれたこと」と語った。


8年ものあいだ、何の確証もない中で、周囲からは小ばかにされ
不安と信念が交錯する中で、検証と実践を繰り返していくことは
自らの選んだ道であるとはいえ、並大抵のものではなかったはずだ。

私たちの業務でさえ、レベルこそ大きく違うが
木村氏の言う「理解されなさ」を、実感として、多少なりとも判るからである。

人とは、基本的には保守的な生き物で
これまでの習慣や、自分自身の考え方を、中々すぐには変えられないものである。
ゆえに木村氏のような「先駆者」は、最初は中々理解されないのが常であるのだろう。


それが今では、あのJA(農協)を動かしたり
大学の研究対象(栽培法が)になったり
海外でも講演するなど、多くの人に影響を与え
これまでの農業のあり方までも揺さぶり始めている。


少しずつでも、「肥料・農薬を使わずに、いかに栽培するかの研究」が
国や自治体を上げてなされていくことを期待したい。
現状では、その「真逆」であって
「いかに肥料をあげて、収穫を上げるかの研究」が多くなされているからである。


木村氏の魅力は、その栽培法のノウハウももちろんだが
その「人としての魅力」によるところも大きい。

決して偉ぶらない人柄や、独特の味わいある口調
この人でなければ、ここまで大きなムーブメントにはならなかったかもしれない、とすら思う。

このようなタイプの人を、私は他にあまり知らないし
その個性的な生き方に、私たちは感動するのである。


木村氏から学ぶことはとても多い。



木村秋則オフィシャルHP : http://www.akinorikimura.net/

木村秋則氏blog : http://shizensaibai.jp/blog/kimura/
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by lidesign | 2010-03-24 19:33 | 植物の生長・カンサツ・利用

祐天寺アパートメント VICO オープハウス

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石井井上建築事務所による
「祐天寺アパートメント VICO」の
オープンハウスに行ってきた。


「VICO」とは、イタリア語で「細い道」とか「集落」とかの意味だそうだ。


現場は住宅が密集する地域で
限られた敷地の中に
実に豊かな居住空間が
デザインされていた。



当日はあいにくの雨だったが
居室内には、心地よい自然な外部の光を十分に感じることができたのは
ちょっとした驚きでもあった。
壁と開口部(窓)が絶妙に配置され、外部を適度に取り込んでいるのである。

この「窓」というのは、「位置」、「プロポーション」共に
建築空間を構成する重要な要素であることを改めて認識させられる。



居室内はシンプルでありながら、決してフラットではなく
空間の「役割」ごとの多様性がある。

f0141191_12181844.jpg例えば、素材の異なる部位においては
その納まりが立体的に処理され
各空間が、重なりあっているかの印象を受けた。

それはつまり、「分節」ではなく、「重なり」であって
居住空間としては、「一つのまとまりのあるスペース」を感じさせるのである。



f0141191_12122191.jpgユニークなのは、各住戸のエントランス。

玄関ドアが、一定の間隔をおいて
「異なったドア」が配されている。
中が見えない白いドアと、透過性の高いガラスドアが、ランダムに配されているのである。

これはおもしろいと直感的に感じた。

VICOのような住戸に入居する人は、家具やカーテンなども
自分なりにセンスよくコーディネートして暮らすだろう。

そうした個人の楽しげな生活感が、このVICOの路地ににじみ出てくる景観が・・・
脳裏にふと浮かんだのである。

石井氏と井上氏によると、
「同じドアが連続した景観はいかにもアパート的で多様性が欠落してしまう。
各住戸の入口に変化をもたせることで、住空間に多様性をもたらしたかった。」とのこと。

これは、楽しい路地空間(VICO)になりそうである。


f0141191_12292174.jpg居室内にさりげなく置かれた
石井氏、井上氏デザインの椅子もおもしろい。

人の手作り感というか、ラフさが
全体のクールな空間にあっている。

路地への「生活感の滲み出し」もそうだが
こうした、人の感触というか、四角四面でない要素が
空間の「ふところ」を深くしていくのだろう。


石井井上建築事務所と私たちは、今後パートナーシップを組むことになっている。

建築とランドスケープが、融合することによって
質の高い環境のデザインを目指して行きたい。

石井井上建築事務所HP : http://www.d1.dion.ne.jp/~isiidai/
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by lidesign | 2010-03-15 12:37 | 建築とデザイン